糀屋に鎮座する糀屋稲荷神社の例大祭について紹介します。稲荷郷5ヶ村(糀屋・安坂・森本・曽我井・坂本)の総氏神です。足利氏の時代より将軍家からの崇敬を受け、特に徳川三代将軍家光以後は代々朱印状を寄せられていました。天寿院千姫の安産祈願を行ったことで、社堂の寄進を受けたと言われ、今日でも本殿南横に東照宮が奉られています。宮入りした屋台は、各地区趣向のある屋台唄を決められた位置にて、屋台の差し上げとともに唄い上げます。境内中央の土俵のまわりを3周し、東照宮前で最後の差し上げを披露した後、据えられます。管理人が生まれ育ったふるさとであり、このサイト運営の大きな推進力になっている祭礼であります。
青い布団屋根が映える糀屋屋台。水切りや井筒通し・高欄には手の込んだ金具類が配されています。近年改修が繰り返され一層煌びやかな姿となっています。
白黒の袋綱で屋根を絞った安坂屋台。宮入りでは「菊や臨時」で始まる、稲荷神社の大祭を祝う独特の屋台唄を披露します。古い形式を保ちますが、何度も改装を重ね大切に受け継がれています。
稲荷郷の誰もが認める名屋台です。反りの浅い布団屋根など、明治期の特徴を残しつつも、久保経一長政の精巧な彫刻、金綱文様の水切り金具、びっしりと金具が配された高欄など、当時の最先端が盛り込まれた屋台です。
播州織りで栄えた曽我井では、昭和29年(1954年)当時の意匠を極めた現屋台を新調しました。三代目松本義廣の繊細な狭間彫刻、絹常が手がけた退治物四場面の水引幕と金糸縫い潰しの昼提灯など、播州屋台の完成形をみることができます。
昭和天皇ご即位御大典の奉祝として新調された屋台です。当時では珍しかった金綱や金糸総刺繍での水引幕、四面の梵天飾りが取り入れられました。何度かの改修を経て、往時の煌びやかな姿を今日に伝えています。