平成20(2008)年に、「中区祭禮屋台見聞録」という大仰なタイトルをつけてWebページを作成してから、10年以上の月日が経ちました。平成31(2019)年3月にサイトを掲載していたYahoo!ジオシティーズの終了に伴い、5年にわたって閲覧できない状態が続いていましたが、ようやくgoogleのサービスを活用して再開することができました。今回のリニューアルでは、各屋台の紹介にできるだけ言い伝えや回想録の出典を振るようにしました。明治期から昭和初期にかけての屋台の来歴に関する年号や購入の経緯は、広報や紀行に記事として掲載された内容に基づいたものがほとんどです。本来であれば追加の聞き取りや確認の調査をすべきところ、管理人の調査開始時には多くの方がすでに鬼籍に入られ、更なる調査が難しい状況にありました。また、聞き取りの内容については、複数の方から同じ内容の言い伝えが得られた際に、その方のお生まれ年度とともに注釈を振っています。いずれに関しても、今となっては真偽のほどを新たに決定するのは難しい状況にあり、”こういうことを伝えた話もある”程度に認識いただければ幸いです。ご家族や知人からお聞きになっている内容や集落に伝わる話と相違する場合、ぜひ教えて頂ければありがたいです。真偽とは独立して、様々な伝聞を収集・整理することが大切な段階に来ているように感じています。また、年代の表記は和暦と西暦を並記するように心がけました。
元々は平成17(2005)年に「播州糀屋稲荷神社秋祭」としてスタートさせた弊サイトですが、当時大学生だった管理人が、自由のきく時間の中で”大好きな地元の祭りをいっぺん整理してみよう”、という興味本位からスタートしたものでした。取材と称した聞き取りや過去の広報や紀行に記された記述を集めていく中で、祭りの価値を再認識したのはいうまでもありませんし、各地区に受け継がれた屋台の価値を知ることになりました。運営や準備に携わる青年世代や保存会の心身の苦労はもちろんですが、世相や世代を超えて今日まで受け継がれてきた意味を感じることができました。弊サイトは、客観的に地元の祭りを見直すきっかけになればとの思いから作成しました。それぞれの屋台の来歴や衣装・装飾に取り入れられた匠の技や文化財的価値は、当時の技術の高さだけでなく、当地に導入し受け継いでこられた集落の先人・先輩への尽力に思いを馳せることを禁じ得ません。
弊サイトの休止の間、未曾有のコロナ禍に見舞われ、祭りの催行が大きく変化せざるを得ない事態に見舞われました。安田郷・稲荷郷では、令和2(2020)年から令和3(2021)年の丸2年にわたって、天神郷では、令和4(2022)年にいたる丸3年間、屋台宮入りが中止されることになりました。令和5年現在、徐々に以前の形での催行を目指し、各地区復活を進めている最中になります。
さらに、コロナ禍とあわせて急激に進む少子・高齢化も祭りの維持と催行に大きな影響を与えつつあります。乗り子の対象が男子から女子まで拡張された地区も出てきました。以前ではあり得なかった宮入りでの台車の装着も見られるようになりました。青年団組織を発展的に解消し、集落主体の保存会へ切り替えた地区も出てきました。中学校の統合など、将来の祭りの担い手である若者世代の急激な減少は避けられなくなっています。
以上のような最近の祭りをめぐる様相の変化の捉え方は様々でしょうが、少なくとも”かつてはこうしていた(ことがある)”と系統的かつ網羅的に整理・公開しておくことは意味があるのではないか、そのような思いで今回のリニューアルに取り組みました。多可町では、「多可町の伝統行事 I(多可町文化財報告23、2014年3月刊)」をはじめとして、町内各地の祭礼行事を記録・整理されていますが、弊サイトではもう少しマニアックに、旧中町の屋台祭礼について地元密着型で内容をまとめてみた次第です。
また、コミュニティ助成や文化庁文化芸術振興費補助など行政のサポートで屋台の改修・修繕が行えるようになってきました。改修を機に屋台の来歴や経緯を掘り起こす気運が高まることもしばしばあります。弊サイトがそういった補助申請や自村の歴史を見直す一助になれば幸いです。
旧サイト時代から引き継いだ内容も多く、目新しいものは少ないかもしれませんが、中区としての祭りの有り様が分かっていただければ嬉しく思います。取材にあたり各地区青年団・屋台保存会の皆様には大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。写真を提供してくださった多くの皆様、とりわけ共同取材・調査を引き受けてくださり、ご助言ご指導をいただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
祭りをはじめとする地域のつながりの衰退の歯止めに、少しでも貢献できれば幸いです。今後とも、何卒よろしく御願い致します。
令和6(2024)年2月 管理人:小西
リニューアル以前の旧サイトでの謝辞御礼(平成20(2008)年12月 )
旧サイト『播州糀屋稲荷神社秋祭』の立ち上げから3年あまりの月日が経ち、紹介すべき内容・新に判明した事実等々、これまでのスタイルでは中区の祭礼を網羅的に紹介することが困難になってきました。加えて、祭りの様相の変化を踏まえ、これまで調べてきたことを出来るだけ詳しくかつ系統的に紹介してみようと、新サイト『中区祭禮屋台見聞録』を立ち上げるに至りました。
旧サイト時代から引き継いだ内容も多く、目新しいものは少ないかもしれませんが、これまで分かりにくかった中区としての祭りの有り様が分かっていただければ嬉しく思います。
取材にあたり各地区青年団・屋台保存会の皆様には大変お世話になりました。突然の訪問にもかかわらずお相手したくださり、本当に有り難うございました。 また、ご無理を申し上げ、頂戴した太鼓唄の歌詞集は有効に活用したいとおもいます。
さらに写真を提供してくださった多くの皆様、とりわけ共同取材・調査を引き受けてくださり、ご助言ご指導をいただきましたS様、播州祭礼研究室N様、中区郷土史会T様には厚く御礼申し上げます。
今後とも、何卒よろしく御願い致します。
・取材協力(順不同)
播州糀屋稲荷神社・安田稲荷神社・坂本青年団・糀屋青年団・安坂青年団・森本青年団・曽我井青年団
西安田青年団・屋台保存共賛会・中安田青年団・中安田屋台保存会・東安田青年団・東安田屋台保存会(東神会)・羽安町青年団
奥中青年団・茂利青年団・中村町青年団
・写真提供
旧中町役場(織物祭りの写真等)
那珂ふれあい館
播州祭礼研究室 様(中区の屋台・細部紹介写真等)
※その他多くの方にご協力いただいていますが、実名を公開することを控えさせていただきます。
・参考文献
大坂・浪花木彫史(だん吉友の会発行)
中町広報(旧中町役場)
中町史(中町教育委員会)
中町誌(中町教育委員会)
多可郡誌(多可郡教育委員会)
ふるさと中町ー神社の巻(川口昭三著)
公会堂竣工記念誌(羽安町)(羽安町公会堂竣工記念行事委員会編、西脇市羽安町、昭和55年5月刊)
寺社建築の歴史図典(前 久夫著・東京美術刊)
有機化学の研究を生業としています。
「広報たか 2023年08月号」「たかテレビ あっ!たかピープル」
に取り上げていただきました。
ハンドルネームの「坂仙(さかせん)」は高祖父が稲架(なるき)に記したサインから拝借しています。
研究の詳細については、以下をご参照ください。