安田稲荷神社は、御祭神に大国主命(おおくにぬしのみこと)・稲倉魂命(うかのみたまのみこと)・武甕槌命(たけみかづちのみこと)をお奉りしています。古来は、西安田字イヤガ谷に鎮座されていましたが、墓地に近いということもあり、暦応3(1340)年に西安田字長石ヶ谷に遷座されました。それ以来この地を字宮が谷と称すようになりました。しかし元和3(1617)年2月、火災により社殿が炎上し、中安田住民、野中某により現在の地に遷宮されたといわれています。享保4(1719)年に社殿の大修理が行われ、現在の社殿は文政12(1829)年に再建されました。社殿の彫刻は中井一統が手がけ、本殿は七代目中井権次正次、幣殿は八代目中井権次貞胤と弟子の和久定吉のそれぞれ作品です(注1)。特に、幣殿奥の虹梁の龍は保存状態も良く見事な一品です。随神門は本殿よりも古い正徳3(1713年)年建立のものでしたが、老朽化が激しく、平成11(1999年)年、氏子の総意によって再建されました。境内の末社は名越神社・八幡神社・天満神社が奉られています。